「疑似相関分析」の使い方
2つの指標の相関が「一方が他方を動かしている」ことを示しているのかを確かめる、疑似相関分析(β版)の操作手順と結果の見方について
想定読者
PARAs AIの疑似相関分析を実際に使って、結果の読み方を把握したい方
注意点
この機能は因果関係の有無・向き・大きさを判定するものではありません。結果は、相関から因果関係を見出すことの必然性を疑うための参考情報です。
目次
「疑似相関分析」の使い方
疑似相関分析は、2つの指標の相関が、本当に「一方が他方を動かしている」ことを示しているのかを確かめるための機能です(β版)。このページでは、機能の概要、操作の手順、結果の見方、困ったときの対処をご説明します。数理的背景に関しては、PARAs AIの「疑似相関分析」の機能についてをご覧ください。
この機能でできること
2つの指標の相関が高くても、それだけでは因果関係の根拠になりません。2つの指標を選ぶと、次の4点を調べます。
- 相関係数・決定係数:2つの指標がどの程度、一緒に動いているか。
- 差分相関:同じ方向に長期的に動いてきただけの見せかけ(トレンドの共有)ではないか。
- 偏相関係数:第三の指標(交絡因子)で説明できないか。
- 対抗馬:同じくらい強い相関を持つ他の指標はないか。
ご注意
- この機能は、因果関係の有無・向き・大きさを判定するものではありません。
- 計算するのは、線形の関係を表す統計量だけです(非線形な関係や、複数の第三の指標の組み合わせの効果は捉えられません)。
- 結果は、「相関から因果関係を見出すことの必然性を疑う」ための参考情報です。
ご利用にあたって
ログインしたユーザーがご利用いただけます。ポイントは必要ありません。詳しくは利用規約の「疑似相関分析について」をご確認ください。
2つのバージョン
| 政府統計版 | CSVファイル版 | |
|---|---|---|
| 使うデータ | 日本の政府統計等の月次指標(サービスに登録済み) | お手元のCSVファイル(月次・週次・日次) |
| 開き方 | ヘッダーメニューの「バイアス分析」→「疑似相関分析」 | 政府統計版のページ上部にある「CSVファイル」タブ |
| 交絡因子の候補 | 登録指標の中から、ご自身で選びます | 同じファイルの他の列(月次のCSVなら、政府統計の指標も追加可能) |
| 設定のURL共有 | できます(開くと自動で実行されます) | 設定だけ共有できます(自動実行はされません) |
上部のタブで切り替えられます。切り替えると、指標や列の選択は引き継がれません。
政府統計版の使い方
手順
- 指標Aと指標Bを選びます。 異なる指標を選んでください。選ぶと、指標の説明が表示されます。
- 交絡因子の候補を選びます。 主要な指標があらかじめ選ばれています。変更する場合は「候補を追加」で追加パネルを開き、指標を選択・解除します(詳細は下記)。
- (任意)順位付けの基準を選びます。
- (任意)データ範囲を指定します。
- 「実行」を押します。
実行中は、現在の処理の段階と進み具合が表示されます。初回は、候補ごとにデータを取得するため、数十秒から数分かかることがあります。2回目以降は、取得済みのデータが再利用されるため、速くなります。
交絡因子の候補の選び方
- 指標AとBに選んだ指標は、候補にできません。
- 候補は1件以上、40件まで選べます。20件を超えると、時間がかかる旨の注意が表示されます。
- 追加パネルでは、分野(物価、雇用・賃金、景気・景況感など)ごとに指標が並んでいます。分野名の左のチェックで、その分野をまとめて選択・解除できます。
- 検索欄に指標名の一部を入力して、絞り込めます。
- 選択中の指標は、チップとして一覧表示されます。×ボタンで個別に外せます。
- 「既定に戻す」で初期の選択に戻り、「すべて解除」で全て外せます。
- 「注記あり」の印が付いた指標は、説明に扱いの注意があります(前年同月比、季節調整値など)。選ぶ前に説明をご確認ください。
順位付けの基準
交絡因子の候補を「強い交絡」の順に並べる基準です。
| 基準 | 意味 |
|---|---|
| 相関の減少幅が大きい順(初期設定) | 候補を制御したとき、相関の絶対値が大きく下がる候補ほど、強い交絡とみなします。 |
| 偏相関の絶対値が小さい順 | 候補を制御した後の偏相関が0に近い候補ほど、強い交絡とみなします。 |
実行後に基準を切り替えても、データを取得し直さず、並べ替えるだけです。
データ範囲
分析に使う期間を、開始日・終了日で指定します。年月単位で、両端を含みます。指標A・B・すべての候補に同じ範囲が適用されます。指定しなければ、取得できた全期間(指標どうしに共通する月)が対象です。
設定の共有
設定はページのURLに反映されます。URLを共有すると、相手の画面で同じ設定が復元され、自動的に実行されます。
CSVファイル版の使い方
手順
- CSVファイルを選びます。 ファイルは、お使いのブラウザの中だけで処理されます(サーバーには送信されません)。
- (必要に応じて)データの頻度、欠けた点の扱いを設定します。
- 読み込みに成功すると表示される「読み込んだデータ」で、内容を確認します。
- 指標Aと指標Bを選びます。 CSVの列から選びます。月次のCSVの場合は、政府統計の月次指標も選べます。
- 交絡因子の候補を確認します。 A・B以外の列は、すべて候補になります。候補にしたくない列は、チェックを外します。
- (任意)順位付けの基準、データ範囲を設定します。
- 「実行」を押します。
CSVファイルの形式
| 項目 | 条件 |
|---|---|
| 文字コード・区切り | UTF-8、コンマ区切り(Excelでは「CSV UTF-8(コンマ区切り)」で保存してください) |
| 1列目 | 日付 |
| 2列目以降 | 指標の値。見出し行(1行目)が指標名になります。 |
| 日付の書き方 | 2020-03-15、2020/03/15、2020-03、20200315、202003、2020年3月15日 など。年だけ、年度、四半期は使えません。 |
| 並び順 | 日付は昇順にしてください。同じ日・週・月に複数の行があるとエラーになります。 |
| 値 | 数値。桁区切りのコンマは使えます。空欄は欠損として扱われます。 |
| 上限 | ファイルサイズ2MB、10,000行、指標10列まで |
データの頻度
「自動判定」では、日付の間隔から月次・週次・日次を判定します。間隔が不規則で判定できない場合は、月次・週次・日次のいずれかを指定してください。月次は月初、週次は月曜に日付を揃えて扱います。
欠けた点の扱い
| 選択肢 | 内容 |
|---|---|
| 警告のみ(補間しない)(初期設定) | 欠けた点はそのままにします。 |
| 線形補間で埋める | 欠けた月・週の行を足し、前後の値から補間して埋めます(先頭と末尾は埋めません)。 |
| 欠損の点を除く | 空欄の点を、その列から除きます。 |
分析できない列
次の列は、エラーにはなりませんが、分析の対象から自動的に外されます(理由は画面に表示されます)。
- 数値でないセルが半数を超える列
- 有効な値が3点未満の列
- すべて同じ値の列
政府統計の指標を組み合わせるとき
- 組み合わせられるのは、月次のCSVだけです(政府統計が月次であるため)。週次・日次のCSVでは選べません。
- 交絡因子の候補にする政府統計の指標は、初期状態では1つも選ばれていません。必要なものを選んでください(40件まで)。選び方は、政府統計版と同じです。
- 政府統計の指標を選んだ場合、取得のために指標の名前がサーバーに送られます。CSVの中身は送られません。
- 結果では、政府統計の指標に「(政府統計)」と付き、CSVの列と見分けられます。
自動で除外・警告されるもの
- AまたはBと、共通する日付のすべてで同じ値の列は、同じデータのコピーとみなして、候補から自動的に除外されます。
- AまたはBとほぼ同一の列は、除外されず、警告が表示されます(単位換算した同一データの可能性があるためです)。候補から外すかどうかは、ご判断ください。
- 共通する点の数が少ないと、「相関係数が偶然の影響を大きく受けます」という警告が表示されます。
- 交絡因子の候補が1つも使えないときは、相関係数・決定係数・差分相関だけが表示されます。
設定の共有
設定はURLに反映されますが、CSVの中身は含まれません。共有されたURLを開いても、結果は再現されません。同じCSVファイルを選び直す必要があります。URLからの自動実行も行われません。
プライバシー
CSVファイルは、ブラウザの中だけで読み込み・解析され、サーバーへの送信や保存は行われません。ページを閉じる、または再読み込みすると、読み込んだデータは消えます。
結果の見方
結果は、次の順に表示されます。
1. 「◯◯ と ◯◯ の相関」
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 相関係数 r | 2つの指標の値どうしの相関。強さの目安として、絶対値が0.7以上は「強い」、0.4以上は「中程度」、0.2以上は「弱い」、それ未満は「無視できるほど微小」と表示されます。 |
| 決定係数 R² | r の2乗。変動の何割が線形に対応するかの、見かけの値です。 |
| 差分相関 r_diff | 前の時点との差どうしの相関。共通のトレンドの影響を弱めた値です。 |
| 比較した期間(共通点数) | 2つの指標に共通する日付の点数と、期間 |
見せかけの相関の可能性の表示
次の条件に当てはまると、黄色の注意書きが表示されます。
| 表示 | 条件 | 意味 |
|---|---|---|
| トレンド共有の疑い | 相関係数の絶対値が0.5より大きく、差分相関の絶対値が0.2より小さい | 両方の指標が同じ方向に長期的に動いてきたことによる、見せかけの相関の可能性があります。 |
| 交絡因子の疑い | 相関係数の絶対値が0.5より大きく、最上位の候補を制御したときの偏相関の絶対値が0.2より小さい | その候補が共通の原因(交絡因子)となっている、見せかけの相関の可能性があります。 |
- 基準値(0.5と0.2)は、慣習的な値です。
- 表示されないことは、疑似相関でないことの証明にはなりません。 表示されることも、疑似相関であると断定するものではありません。あくまで目安です。
2. 「相対的に強い交絡の候補(ベスト3)」
選んだ順位付けの基準で、上位3位までの候補が表示されます。「相関係数 r → 偏相関係数」の変化と、「|r|の減少幅」(正なら、制御すると相関が弱まったことを示し、負なら強まったことを示します)が確認できます。
「交絡因子の候補を表示」を開くと、全候補の一覧表を確認できます。一覧表の相関係数 r は、候補を含む3つの指標に共通する日付だけで求めるため、上の「相関係数」と少し異なることがあります。
3. 「同程度に強い相関を持つ他の指標(対抗馬)」
「AのせいでBが動いた」説と、「BのせいでAが動いた」説のそれぞれについて、他の指標を原因とみなした場合の統計量を並べます。
- 基準(青い背景)より相関が強い、または同じ強さの指標には、「元の説より強い」と表示されます。
- 該当する指標があるということは、相関係数だけでは、AやBを特別な原因とみなす根拠にならないことを示しています。
- 該当する指標がなくても、因果関係の根拠にはなりません。探索した候補以外の要因は、排除できないためです。
- 表の回帰係数 β は、相関に基づく見かけ上の値であり、因果的な効果の推定値ではありません。
4. 「ここまでの結果の要約」
結果を文章にまとめたものです。あらかじめ用意された定型文の組み合わせで、生成AIによる文章ではありません。同じ結果でも、実行のたびに言い回しが変わることがあります。
5. その他
- 使用した統計表:指標に使われた統計表の情報(政府統計を使った場合)
- 交絡因子の候補から除いた指標(列):除外された候補と、その理由
- この分析の限界:結果を読むうえでの注意
- データの更新について:政府統計のデータはキャッシュ(一時保存)されているため、新しい月のデータが反映されるまで時間がかかることがあります。最新の月が含まれているかは、データ期間の最終日でご確認ください。
- 出典:使ったデータの出典
結果を読むときのご注意
- 「見せかけの相関の可能性」の表示がなくても、疑似相関でないとは限りません。
- 差分相関は、トレンドの影響を弱める簡便な方法です。真に関係のある2つの指標でも、短期の変動が独立なら、小さくなることがあります。
- 偏相関係数は、因果の構造を考慮せず、候補を機械的に制御した値です。そのため、交絡因子と、間に入って媒介する指標は区別できません。また、候補は1つずつ制御されるため、複数の指標が組み合わさった交絡は捉えられません。
- 交絡因子の候補は、ご自身で選んだ範囲に限られます。選ばなかった指標が、本当の交絡因子である可能性は排除できません。
- 多数の候補を比べるほど、偶然に強い相関を示す指標が含まれやすくなります。
- 共通する点が少ないと、相関係数は偶然の影響を大きく受けます。
- データを取得できなかった候補は除かれるため、取得状況によって結果が変わることがあります。
統計量の計算方法や、考え方の詳細は、別ページ「疑似相関分析の仕組み(技術解説)」をご覧ください。
よくあるご質問・困ったときは
| 状況 | 原因と対処 |
|---|---|
| 実行できない(「実行」が押せない) | 画面の赤字のメッセージをご確認ください。指標AとBが同じ、データ範囲の開始日が終了日より後、交絡因子の候補が0件または41件以上、のいずれかの可能性があります。 |
| 「共通する日付が3点未満」と表示された | AとBに共通する期間が短すぎます。データ範囲を広げるか、指標の組み合わせを見直してください。 |
| 「交絡因子の候補として使える指標が1つも見つかりませんでした」と表示された(政府統計版) | 指定した範囲で、使える候補がありません。データ範囲を広げるか、候補を追加してください。 |
| 実行に時間がかかる | 初回は、候補ごとにデータを取得するため、数分かかることがあります。候補の数を減らすと短くなります。 |
| 一部の候補が結果に出ない | データを取得できなかった、共通する日付が3点未満だった、などの理由で除かれています。結果の「交絡因子の候補から除いた指標(列)」で理由をご確認ください。 |
| 最新の月のデータが含まれない | 政府統計のデータは、キャッシュされています。反映までに時間がかかることがあります。 |
| CSVを読み込めない | 赤枠に、行番号・列名つきで理由が表示されます。文字コード(UTF-8)、日付の形式と並び順、重複する日付、数値でないセルをご確認ください。 |
| 「頻度を判定できません」と表示された | 日付の間隔が不規則です。「データの頻度」で、月次・週次・日次のいずれかを指定してください。 |
| 政府統計の指標が選べない(CSVファイル版) | 政府統計の指標を組み合わせられるのは、月次のCSVだけです。 |
| 共有されたURLでCSVの結果が表示されない | CSVの中身はURLに含まれないため、結果は再現されません。同じCSVファイルを選び直してください。 |
| 読み込んだCSVが消えた | CSVの内容は保存されません。ページを閉じる・再読み込みすると消えます。 |
用語
| 用語 | 説明 |
|---|---|
| 相関係数 | 2つの指標が線形に一緒に動く度合いを、−1から+1で表した値。因果の向きや大きさは表しません。 |
| 決定係数 | 相関係数の2乗。 |
| 差分相関 | 前の時点との差どうしの相関。トレンドの影響を弱めます。 |
| 偏相関係数 | 第三の指標(候補)の線形な影響を取り除いたあとの、2つの指標の相関。 |
| 交絡因子 | 2つの指標の両方に影響して、見せかけの相関を生む第三の要因。 |
| 対抗馬 | 結果側の指標と、基準と同じ、またはそれ以上の相関を持つ他の指標。 |